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9坪ハウス

私は、よく住宅設計に関する本を購入するのですが、自分の中で読みたい本のブームみたいなものが定期的に訪れます。

一つ読みたいと思う本が見つかると、そのテーマについて、とことん追求したくなってしまうのです。

最近のブームはこれです。

小さな家を魅力的に設計する。

設計士が施主のライフスタイルや好みに合わせ、限定されたボリュームの中でどのように答えていったのか、

そんなアイデアの詰まった設計図や、小さいのにそうは見えない開放的で素敵な写真などを見ていると、とても楽しいのです。

 

中でも『9坪の家』(萩原修)という本は、1952年に建てられた住宅史の名作とも言われる、増沢洵さん設計の『最小限住居』に

仕事で住宅の展覧会を開催した際に出会うところから、感銘を受けた筆者が、それを再現する形で自邸を建てるまでのストーリーが書かれている本です。

 

増沢邸のリメイクともいえる、萩原さんが建てた9坪の家は、スミレアオイハウス(萩原さんの2人の娘さんの名前からとった)と名付けられ、増沢邸の建築から

半世紀の時を経て、住宅業界に『9坪ハウス』というムーブメントを作り出すこととなります。

 

この建坪9坪という限られたスケールの中で、如何にして住みやすく魅力的な住宅を造っていくのかというパズルともいえる難題に、何人もの建築家や

デザイナーが答えを出していくのですが、その答えとなる図面を見たり、自分だったらこんな間取りにするかなと、図面を書いてみたりしていると

自分なりの色々な発見があり、非常に勉強になります。

 

この増沢邸は、戦後住宅不足がさわがれる中、最小限の資材とコストで、どうすれば豊かな暮らしが出来るのかという命題に答えを出した住宅なのでしょう。

今世界で新型コロナの猛威により世界的な不景気が訪れることが予想されます。そんな今こそ、この最小限住居からもう一度よく住宅のあり方について考え

る必要があるのではないでしょうか。